<< 二人ともおめでとー! | main | 自分紹介バトン >>
世界が堕ちるその前に 3
人族
もっとも非力な種族
協力と和を尊ぶ種族
感情豊かな種族
部屋の中の空気はどんよりと渦巻き、外の日差しが室内を照らす。
しばらくの沈黙。
少年は口を開いた。
「僕が欲しいのは、ある妖魔の情報。その妖魔の現在位置や仲間、弱点、習性、その他もろもろ、その妖魔に関するすべての情報。」
「調べる必要がありそうだな。」
「調べていただくことは、可能ですか?」
男は自信ありげに笑った。
「俺たちは、そのための集団だぜ?」
「じゃあ…」
少年が言葉をつむごうとした瞬間
「が、そのためには二つの条件がある。」
男は指を立てて、少年の目を見つめた。
実際、フードに隠れて目は見えなかったのだが。
「なんですか?」
首をかしげて少年は男に尋ねた。
足下に座っているアールが、眠そうにあくびをした。
「お前の素性と、金だ。」
男は指を二本立てた。
「素性、ですか…。」
「ああ、お前はフードで髪も顔も隠している。それに俺はお前の名前も、出身も、目的も、何も知らない。何処の誰かもわからない奴の依頼を、受けるわけにはいかないのでな。」
男は、フードの向こう側の少年の目を見つめた。
「…わかりました。」
少年は一言そういい、右手でフードをぱさり、とのけた。
「ほほう、これは驚いたな。まさか…」
「ええ、お察しの通り、僕は女です。」
こげ茶色の髪、蒼色の瞳。
中世的といえる顔立ちだが、それでも、その顔は女のソレだった。
「人族としては一般的なブラウンにブルーか…顔に傷等もなし…情報屋に来るような奴とは思えんがなぁ…。」
少年――いや少女の顔を男はまじまじと観察する。
少女はだまって観察されていた。
「どんな人が、ここにくるんですか?」
「んぁー…まあ、顔にでっかい傷を持った修羅やら、オッドアイの天人、あとはどうても妖魔の一族、とかな。とにかく普通の奴はこねぇ。」
男は再度、少女の眼を見つめた。
「さっきは、少年といって悪かったな。」
「いえ、少年で構いません。」
「そうか…では少年の名前を、教えてもらおうか。」
少年は少しためらい、足元のアールを見やった。
しかしアールは眠そうにあくびをするのみだった。
「僕の名前は…かげる。光と影の影、に流れるという字で影流、です。」
「ふむ…いい名前だ。いまさらだが、俺の名前はイツ、一つ、という漢字で一だ。」
「いい名前ですね、イツさんも。」
だろっ、と言ってイツは笑った。
「ま、おしゃべりはここまでにして。今、お前は俺の客たる条件の一つを満たした。」
「…僕、まだ顔と名前しかいってませんよ。」
「それで十分だ。まあ、実は顔を知るだけで十分だったんだがな。」
そういうと、男はじっと少年の顔を見た。
記憶に刷り込むように、じっと。
「俺には、特殊な能力があってな。一度見た顔は間違えねぇ。相手がどんな変装をしていても、だ。」
「ほぇ、すごいですね。」
「ま、もう1個あるんだがソレは企業秘密だ。」
イツはまたしても自慢げに口の端を上げた。
「で、もう一つの条件だが…」
「お金、ですか。」
「ご名答。」
男は机に頬杖をついて、少年の顔を見上げた。
「金は今払う必要はねぇ。情報と引き換えになる。」
「…情報を手に入れる上で、どの程度の出費があるか、わからないから。」
「またしてもご名答。よくわかってるな少年。」
「あはは…お金のほうは、ちゃんと工面します。」
「まあ、その言葉を信じるしかないな。はっきり言っちまえば、金がこなきゃ情報は売らずに、ウチラの倉庫に入り、ウチラの情報が多くなるだけだ。」
さて、と男は前置きをして
「お前さんの欲しい情報をいってもらおうか。」
「…了解した。必ずやそいつの情報を集め、お前に売ろう。」
「お願いします。」
「一ヶ月ごとくらいに、ここによってくれ。俺は今からここをでて、一ヶ月後にここにもどる。情報が集まっていようといまいと。いろいろ、上に報告することがあるんでな。」
「わかりました。」
男はその言葉をきくと、イスから立ち上がった。
少年も同じく立ち上がる。
「いけ、少年。」
男は少年の後ろの扉を指した。
無言で少年はドアに向かい、開いた。
寝ぼけ眼のアールが少年の後ろをよたよたとついていく。
バタン
少年は振り返らずに扉を閉めた。
*************
前回の更新からどんだけ時間がたってるでしょうね…申し訳ない。
名前は、おそらく予想していた通りでは…と思うのですが。
影流ともう一つの名前で迷ったんですが、やはり影流にしました。
もう一つの名前は、重要な役の名前として出てくる予定です。
駄文失礼!
| 小説 | 10:37 | comments(3) | trackbacks(0) | ▲
Comment
創作小説か
いいねこういう物を書けるというのは
自分の場合は、普通の文章を書いてるはずなのに
何故かギャグを挟みたくなるダメな人です
いいねこういう物を書けるというのは
自分の場合は、普通の文章を書いてるはずなのに
何故かギャグを挟みたくなるダメな人です
| 海 | 2008/03/31 5:13 PM |
うみにんのギャグ…キャラに似合わな過ぎておもろいな。
僕の場合はいまいち状況描写ができないのだよ、うん。
あと、更新が不定期すぎる…orz
さらにいうと今後の展開をまったく考えてません
僕の場合はいまいち状況描写ができないのだよ、うん。
あと、更新が不定期すぎる…orz
さらにいうと今後の展開をまったく考えてません
| 影 | 2008/03/31 8:23 PM |
おぉー!
凄いです!
次回も楽しみにしてます!
凄いです!
次回も楽しみにしてます!
| 紅之流星 | 2008/03/31 11:50 PM |
Submit Comment
Trackback URL
トラックバック機能は終了しました。